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「それでね、響ちゃんも一緒に天使やろうよ。天使になれば一緒に居られるし、元気になって色んなところに行けるんだよ!」
「……はぁ?」
マヌケな声しか出てこない。
超展開が激し過ぎて、色んなことが追い付かない。
けれどあいらはお構いなしに話を続けた。
「天使のお仕事をやれるのは、生まれてから一度も自分の手で生き物を殺したことがない人間だけなんだって。知ってた? 私たちはずっと病院暮らしだったから、虫一匹殺したことがないんだよ」
頭の隅っこにかろうじて引っ掛かっていた、天使の条件という言葉が目の前でチカチカしてる。
確かにその条件は健康な人には難しそうだ。
歩けばアリくらい踏むだろうし、外にいれば血を吸いに来た蚊を潰すこともあるだろう。
なるほど、だからあいらは天使になれたんだな。
「でも、僕が天使って……」
「部長には確認とってあるし、ちょっと講義とか試験とかあるけど大丈夫。私もすぐ受かったから」
えへへと自慢げに笑う姿を見て呆れてしまう。
あ、イスラム教がどうのこうのとか棒読みで言ってたのは、試験勉強のせいか。
このへなちょこぶりでも合格出来る天使って……ホントに大丈夫なのか?
人手不足過ぎてゆるゆるなのでは?
「まごころと誠実がモットーのお仕事です!」
疑わしく見ていたら、満面の笑顔が返って来る。
「……いきなり僕の魂の紐切ろうとしたやつが言う言葉かよ」
「てへ。つい気合が空回りしちゃって」
まだ混乱はしているけど、少しずつ落ち着いてきた。
というより、ここにあいらが居て、笑っていてくれたら他はもうどうでもいい気がしたんだ。
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