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僕らの約束
小児病棟の入院患者は殆どがすぐに退院してしまうけれど、中には長期入院するやつもいて、そういうやつらはみんな友達だった。
とは言っても長期入院というのは大概重病患者なわけで……筋ジストロフィーのサチは12歳、骨肉腫のコウタは14歳の時に死んだ。
中には臓器移植に成功して出ていったやつもいる。
それはラッキーな事だけど、結局はずっと免疫抑制剤の世話になりその副作用で入退院を繰り返してた。
僕らはみんな死の恐怖に怯えながら、治療の苦しさを共有して支え合って生きてる。
中でも特別仲が良かったのが工藤あいらという女の子だ。
僕とあいらはたまたま同じ誕生日に同じ病院で生まれ、同じ病気を同じくらいの重さで抱えていた。
まるで魂を半分に分け合ったみたいに。
僕たちは物心つく前からずっと一緒だった。
すぐに悪い事ばかり想像してしまう僕と違って、あいらは毎日小さな幸せを探していた。
夕食にプリンが出たとか、病院の朗読会に参加できたとか、そんな事を一つずつ大事に日記につけては幸せそうに笑う、そんな女の子だ。
その姿は周りの人達を勇気づけたし、皆が小さな幸せをあいらのところに集めてもくれた。
病院の庭に花が咲いたとか、誰かが折った折り紙をくれたりとか……
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