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「ホントですかぁ? 元気になって、病院の外の世界が楽しくて響さんのことを忘れちゃったのかも知れませんよ」
死神は煽るような、小馬鹿にした口調でそう言う。
「そんなわけない。あいらはきっと……会いに来るための服選びで迷ってるんだ。これまでパジャマばっかりだったから、元気になったらたくさんおしゃれするって言ってたから。そうだ、きっと僕にかわいいって言わせるために一番似合う服を探してるんだよ」
僕らは10歳まで生きるのが精一杯だろうと言われていたから、14歳の今、明日の命さえ知れない。
あいらも同じだったから、それを知っている。
だからきっと生きてるうちに会おうと、一日も早く来てくれるはずだ。
来ないということはまだ動けないのか……それとも僕を忘れてしまったか。
そんなのはいやだ。
ずっとふたりでいたのに。
一緒に病気に苦しんで、一緒に小さな事を喜んで、一緒に励ましあっていたのに。
疑いたくない、信じていたい!
けれどそう思えば思うほど、考えてしまう。
疑ってしまう。
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