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「あいらさんの事を信じてるんですね」
「当たり前だ。あいらはずっと……ずっと……僕のおよめさんになってくれるって言ってたんだからな!」
僕は自分に言い聞かせるように、大きな声で叫んだ。
僕らはきっと大人にはなれないと気付いていた。
それまで生きるのは無理だろうって。
それでもふたり一緒なら大丈夫だって思えた。
悪い方に考えてしまう僕と、全て良い方に考えるあいら。
ふたりでなら例え死んだって、幸せを見つけられるって思った。
だから僕はその幼い約束を宝物みたいに信じていたんだ。
けれどあいらには……もっと未来まで生きる道が出来た。
僕たちはもう一緒にはいられないのかも知れない。
ぐぅっと喉の奥で空気が詰まる。
鼻がツンと痛くて、じわっと視界が歪んだ。
胸が痛くて、苦しくて、悲しい……。
身体なんか無くても、心が痛いと辛くなるんだな。
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