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天使の憂鬱
「全く。何度も何度も同じことばかり。あの子たちはいつになったら僕らの言葉を聞き入れてくれるんだろうねぇ?いつになったら、僕の存在に気付いてくれるんだろう。」
天使は、そう言って深いため息をつく。その目はどこか遠くを見つめ、心の奥に漂う重い思いを隠しきれない。
「僕はあの子たちが生まれた時からずっとそばにいるんだよ。泣き声が上がる度に微笑んで、転んだときには手を差し伸べてきた。ずっとそばにいてサポートしてるのに。それなのに…まるで僕のことなんかいないみたいに。」
冷めきった珈琲を一口、口にした後、サラサラした髪をなびかせながら、彼は静かに呟いた。その言葉を横で聞いていた別の天使が、少し微笑んで声をかける。
「まーまー。それが人間っていうモノだからね。目に見えるものしか信じないのさ。目に見えるものだけを信じて生きるように育てられたんだから仕方ないよ。でも、それでも時々、僕らのメッセージを受け取ってくれるじゃないか。夢の中だったり、ふとした瞬間のひらめきだったりでさ。」
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