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店内の窓から見える地球を眺めるその天使の瞳には、愛おしそうな光が宿っていた。そこに暮らす人間たちが、たとえ気付かなくても、自分たちの存在を少しでも感じ取ってくれることだけで、声をかけた天使には十分だったのだろう。
「まぁ、そうなんだけどさ。それでもあの子たちは、それが僕たちからのメッセージだとは思わず、自分のひらめきとして片付けてしまうだろ?もちろん、それでいいんだけど、なんだか時々そのことがやりきれなくなるんだよ。」
そう言うと、その天使は再び深いため息をついた。窓の外には、夜が更けていく地球の街並みが静かに輝いている。小さな光の粒が、地上のどこかで夢を見ている誰かの心を照らしているように見えた。
「そうはおっしゃっても、これからまた人間たちにメッセージをお届けに行かれるんでしょう?これまでだって何度もそうしてきたじゃありませんか。」
その言葉に、二人の天使は顔を見合わせ、少しだけ笑みを浮かべる。
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