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一方、崎山は全身を洗い終わった後、ぬるま湯と言うには冷たすぎる水を頭から被っていた。
夜伽光の作品はどれも日常のストレスを忘れる程没に頭できるのだが、今日ほど耽溺したのはこれまでになかった。
何故かと、冷水を被りながら思案する。
夜伽光である光貴の肉声を直接聞いたからか? だがイヤホンで直接耳に流し込むほうが、空気を通す距離が短い。
光貴の存在があったからか? 確かに、両親以外で一番気を許しているのはアイツだ。だからといって、催眠中にあんな連想をするなど……。
「……っ!?」
かっと一気に熱が高まる。見下ろせば、逸物がまた勃ち上がっていた。
半ば八つ当たりのように、乱雑に手を伸ばす。
「ぐぅッ……!」
忌々しげに、右手で根元を力の限り握りしめる。
急所の激痛に冷や汗が吹き出る。同時に、血が引いていく。
「っ、は、はあ、はぁ……」
激痛に詰めていた息を吐き出す。
ゴッ、とシャワーブースの壁に頭突きした。
「……分からないなら、確かめればいい……」
それが例え、自身の身を切る行為であったとしても、崎山は確かめずにはいられなかった。
夜伽光は自分に触れてはこない。たから、大丈夫だ。
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