天使降臨

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天使降臨

それはとつぜん前触れもなくやって来た。 空に時空の裂け目が現れると淡い白光が地上を差し翼を広げた天使が降りて来た。 少女は其を見つめると近寄ってくる天使に怪訝そうな顔を向けた。 「…お嬢さん、ワタシは神の啓示を伝えに来ました。今から話すことを人々に伝えて下さい」 神秘的なオーラを纏う天使に少女は臆することなく応えた。 「貴方は天使なのかしら?不思議ね?本当に存在するなんて知らなかったわ」 「…これから7日後、天使のラッパが鳴ると同時に災害を起こし人類を滅亡させます」 少女は無機質な目で疑問を投げ掛ける。 「最後の審判でもする気?それは今、必要なことなの?」 「…ええ、母なる大地が破壊され汚され悲鳴をあげています。人間を浄化しなければ地球(ほし)が壊され生命を維持できなくなります。それを黙認する術はありません」 少女は天使に背を向けると瞬きもせず赤く染った雲を見上げて物思いにふけるかのように言葉を紡ぎながら話しだした。 「人間は強欲で臆病で猜疑心の塊で自然を壊すことは愚か殺し合うことも厭わない下等な生き物よ。それらを抹殺するのは決して罪ではないわ」 「…人の子なのに悪魔のようですね」 意外な言葉に少女は振り向き冷酷な眼差しで天使を睨むと自らの正体を告げた。 「可笑しなことを言うのね?人間を滅ぼしに来たんでしょ?でも、もうここには人間は殆んど居ないわ。私たち機械人間が滅ぼしたもの。これで自然は壊されることもないし他の動物たちも絶滅を免れる。今は地球環境が壊滅的だけど百年後には元に戻ると思うわ」 「…既に人を滅ぼしたと言うのですか。アナタたちが新たな民なのですね。…それではまた改めて参りましょう」 天使は神々しい光りに包まれるとゆっくりと天に登っていった。 「…悪魔が大地を支配しましたか」 少女は其を見届けると決戦を予見した。 「次に会った時は戦争ね…お互い只では済まないでしょうけど、ね」
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