儀式

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「あっ……あっ……」 嫌な筈なのに、本の強制力なのか感じてしまっている自分が恥ずかしい。 「リン……リン……」 激しく腰を揺らしながら、聞いている方が切なくなる声でアーヒルが僕では無い『リン』の名前を呼ぶ声。 その声を聞きながら、僕がこの世界に落とされたのは、この世界の『空木鈴音』を殺した罰だと思った。 こんなに、熱く激しくこの世界の『空木鈴音』を求めているアーヒルが、僕をこの世界に呼び込んだのかもしれない。 そうじゃないと、初対面の……しかも男相手にこんな事をするなんて普通じゃない。 そんな事を考えていると 「何を考えている?」 アーヒルの低い声が耳元で囁く。 ハッとしてアーヒルを見上げると、アーヒルが人差し指を舐めて 「やはり、ここを刺激しないとダメか……」 そう呟いて、人差し指を誰にも見られる事のない秘部に触れた。 「止めろ!」 考えるより先に叫んでしまうと 「最終的に、俺を受け入れないとその匂いは完全に消えないぞ」 そう言われてアーヒルを見上げる。 「なんだって?」 「リンを最初に抱いたのも、リンの匂いを消す為だった。空木殿、創造神様の世界の人なら知っているのでは無いか?」 そう言われて、唖然とした。 読んだ……読んだけど、自分と同じ名前と同じ顔が、男とイタシテル話をまともに読めるか! そう思っていると、アーヒルは深い溜息を吐いて 「分かった。ここには触れない。その代わり、きちんと感じて射精しないと儀式は終わらないぞ」 そう言われて愕然とする。 「その……アーヒルが出せば良いんじゃないのか?」 「違う。俺とお前の精子が必要なんだ」 真顔で言われ 「ぎゃー!せ……せ……精子とか、そんな普通の顔で言うな!」 真っ赤な顔で反論すると 「じゃあ、今の空木殿みたいな顔をして言えと? その方が、恥ずかしくないか?」 と一蹴されてしまった。 そりゃ……そうだけどさ……。 「とにかく、その匂いを消す為だと思って我慢しろ!」 そう怒鳴られた時、アーヒルの身体から黄金の光が放たれた。 さっき僕を助ける為に放った覇気とは違う、甘い香りがしている光だ。 「アーヒル、何の匂い?」 クンクンとその甘い匂いを嗅いでいると 「匂い?」 アーヒルが眉を寄せて呟く。 「そう。甘い、良い匂い」 この匂いを嗅いでいると、フワフワと良い気分になって来た。 まるで花の密に吸い寄せられかのように、アーヒルに近付くと 「空木殿に俺の匂いが?」 「うん、さっきまではなんにも匂いしなかったのに、どうして?」 身体が熱くなって来て、鼓動が早くなっているのが分かる。 下半身に熱が灯り、腹の奥が疼く。
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