目覚めたら夢……であって欲しかった

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「怖がらせてすまない。身ぐるみを剥いだ理由と、全身を確認した理由を伝えたかっただけなのだ。怖がらせるつもりは無かった」 ソイツの話を聞いて、僕はどうやら顔が青ざめていたらしい。 ソイツは大きな手で俺の頬に触れると、優しく抱き寄せた。 熱くて大きな身体に抱き寄せられると、何故だか安心した。 「空木殿の事は、俺が守るから大丈夫だ」 大きな手が、あやすように俺の髪を優しく撫でる。 ソイツの甘く優しい低い声は、なんとも心地良い。 気を許しそうになったその時、抱き寄せられた腹に固いモノが当たった。 驚いて視線を向けると、ソイツのナニが勃っているでは無いか! しかも、めちゃくちゃデカイ! 「ヒッ!」 思わず息を飲んでソイツの腕から逃げ出すと 「お……お前、何……勃たせてるんだよ!」 思わずガン見して叫び、凶器とも言えるデカさのソイツのナニを指差すと 「すまない。……その、空木殿の匂いに反応してしまったようだ。だが、決して空木殿を傷付けるような事はしない」 顔は冷静な顔をしているくせに、下半身の凶器を見せられて信じられるか! ベッドの端に移動して警戒していると 「その……空木殿の匂いは、男を発情させる匂いをしているのだ。リンもそうではあったが、リンよりも濃くて強い。そのままだと、直ぐに他の奴等に襲われてもおかしくない」 「そんなの嘘だ! 今まで、そんな事を言われた事無いぞ」 「今までは分からないが、俺の身体が証明しているだろう?」 「それは、お前が男に反応する変態だからだろうが!」 「失礼な奴だ……。言っておくが、俺はリン以外の男を抱いた事は無い!」 ナニを勃起させて断言されても、信用出来るかよ! ベッドの端で身体を縮めて睨む僕に、ソイツは頭を抱えて深い溜息を吐き出すと 「良いか? 俺は自分の感情や身体をコントロール出来るように鍛えて来た。その俺が、空木殿の匂いでこうなっているのだ。普通の奴等がその匂いを嗅いだら、どうなると思う?」 半ば呆れたように言われて、僕が首を傾げると 「間違いなく襲われる」 怖いことを断言されて、身体がカタカタと震え始めた。 ソイツの真っ直ぐな嘘の無い瞳が、真実を伝えているのが分かる。 漫画には匂いの事なんて、描かれていなかったように思うが……。(内容が内容なだけに、きちんと読んでいなかったからなぁ……) 何故、漫画の主人公が輪姦されてしまうのか、理由が今、分かった。 「じゃあ、僕はどうしたら……」 「その匂いを消す方法がある」 藁にも縋る思いでソイツを見ると、ソイツはそう言って僕の腕を掴んで抱き寄せた。 「俺の匂いをお前に着ける。リンもそれで、匂いを相殺していた」 さすが、R18のBL漫画の世界だ。 とんでもない提案を、当たり前のようにして来やがった。 「それって……お前がヤリたいだけじゃねぇの?」 逞しい腕の中に抱き締められながら、僕はギッとソイツを睨み上げた。 「信じるか信じないかは、空木殿次第だが?」 そう言われて、僕が考えながら 「まず、本当に僕からそんな匂いがしているのか?」 と確認をすると 「俺を疑うのか?」 そう言って、ソイツはギロリと僕を睨んだ。 「そうじゃないけど……、今まで匂いなんて言われなかったからさ」 クンクンと自分の腕の匂いを嗅いでいると、「プッ」とソイツは吹き出すと 「そういう行動まで、リンに似ているのだな……」 優しい、愛しい人を見るような視線にいたたまれなくなる。
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