36人が本棚に入れています
本棚に追加
「怖がらせてすまない。身ぐるみを剥いだ理由と、全身を確認した理由を伝えたかっただけなのだ。怖がらせるつもりは無かった」
ソイツの話を聞いて、僕はどうやら顔が青ざめていたらしい。
ソイツは大きな手で俺の頬に触れると、優しく抱き寄せた。
熱くて大きな身体に抱き寄せられると、何故だか安心した。
「空木殿の事は、俺が守るから大丈夫だ」
大きな手が、あやすように俺の髪を優しく撫でる。
ソイツの甘く優しい低い声は、なんとも心地良い。
気を許しそうになったその時、抱き寄せられた腹に固いモノが当たった。
驚いて視線を向けると、ソイツのナニが勃っているでは無いか!
しかも、めちゃくちゃデカイ!
「ヒッ!」
思わず息を飲んでソイツの腕から逃げ出すと
「お……お前、何……勃たせてるんだよ!」
思わずガン見して叫び、凶器とも言えるデカさのソイツのナニを指差すと
「すまない。……その、空木殿の匂いに反応してしまったようだ。だが、決して空木殿を傷付けるような事はしない」
顔は冷静な顔をしているくせに、下半身の凶器を見せられて信じられるか!
ベッドの端に移動して警戒していると
「その……空木殿の匂いは、男を発情させる匂いをしているのだ。リンもそうではあったが、リンよりも濃くて強い。そのままだと、直ぐに他の奴等に襲われてもおかしくない」
「そんなの嘘だ! 今まで、そんな事を言われた事無いぞ」
「今までは分からないが、俺の身体が証明しているだろう?」
「それは、お前が男に反応する変態だからだろうが!」
「失礼な奴だ……。言っておくが、俺はリン以外の男を抱いた事は無い!」
ナニを勃起させて断言されても、信用出来るかよ!
ベッドの端で身体を縮めて睨む僕に、ソイツは頭を抱えて深い溜息を吐き出すと
「良いか? 俺は自分の感情や身体をコントロール出来るように鍛えて来た。その俺が、空木殿の匂いでこうなっているのだ。普通の奴等がその匂いを嗅いだら、どうなると思う?」
半ば呆れたように言われて、僕が首を傾げると
「間違いなく襲われる」
怖いことを断言されて、身体がカタカタと震え始めた。
ソイツの真っ直ぐな嘘の無い瞳が、真実を伝えているのが分かる。
漫画には匂いの事なんて、描かれていなかったように思うが……。(内容が内容なだけに、きちんと読んでいなかったからなぁ……)
何故、漫画の主人公が輪姦されてしまうのか、理由が今、分かった。
「じゃあ、僕はどうしたら……」
「その匂いを消す方法がある」
藁にも縋る思いでソイツを見ると、ソイツはそう言って僕の腕を掴んで抱き寄せた。
「俺の匂いをお前に着ける。リンもそれで、匂いを相殺していた」
さすが、R18のBL漫画の世界だ。
とんでもない提案を、当たり前のようにして来やがった。
「それって……お前がヤリたいだけじゃねぇの?」
逞しい腕の中に抱き締められながら、僕はギッとソイツを睨み上げた。
「信じるか信じないかは、空木殿次第だが?」
そう言われて、僕が考えながら
「まず、本当に僕からそんな匂いがしているのか?」
と確認をすると
「俺を疑うのか?」
そう言って、ソイツはギロリと僕を睨んだ。
「そうじゃないけど……、今まで匂いなんて言われなかったからさ」
クンクンと自分の腕の匂いを嗅いでいると、「プッ」とソイツは吹き出すと
「そういう行動まで、リンに似ているのだな……」
優しい、愛しい人を見るような視線にいたたまれなくなる。
最初のコメントを投稿しよう!