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僕がそっと紐を受け取ると、真っ青な顔で全身を震わせて床に額を擦り付けながら
「申し訳ございません、許して下さい」
と、口々に呟いている。
「あの、もう大丈夫ですから……」
僕がそう言って、震えるその人に触れようと手を差し出すと、その腕を背後から乱暴に握られて、軽々と身体をソイツに抱き上げられてしまう。
「今回は、このじゃじゃ馬が起こした事だ。口外禁止のみで、咎めはしない」
ソイツの言葉に、その場の全員に安堵の息が漏れる。
「匂い消しの儀式を行なう。部屋に誰も居れるな」
肩に担がれながら、僕は平伏する人達を見下ろして部屋へと戻されて行った。
『ドサ』っと、乱暴にベッドへと落とされて睨み上げると
「これで分かったか?」
と、呆れた顔をされて言われてしまう。
「匂い消しの儀式って、なんだよ」
「わかっているのだろう? 俺の匂いをお前に着けるんだ」
ベッドに押し倒され、顎を掴まれた。
「確かに、リンとは別人だな。リンは大人しく儀式に従った。空木殿は、とんだじゃじゃ馬だ」
そう言うと、突然、楽しそうに笑い出した。
「おい……」
「あれだけ説明してやったのに、部屋を飛び出すとか……」
「…………」
「しかし、見事に匂いに当てられた奴等に囲まれていたな。リンは大人しかったから、ああなるのだと勉強になった」
そう言うと、身体を起こして爆笑し始めた。
「あの時の、空木殿の顔……」
「悪かったよ!」
「いや、面白かったから構わぬ」
「面白かったって……」
押し倒されたままの姿でソイツを見上げていると、綺麗な顔をクシャクシャにして笑うソイツの笑顔の可愛らしさに、胸がキュンとした。
「?」
自分の感情に疑問を持っていると、そっと僕の頬に触れ
「空木殿と居ると、退屈しなさそうだな」
そう言って頬にキスを落とした。
「ちょっ!」
驚いて見上げると
「儀式を行なう。安心しろ、口にはキスをしないから」
そう呟くと、頬から首筋へと唇が下りて行く。
ガウンの紐を解かれ、ソイツの大きな手が肌に触れて行く。
「っ!……匂いが、キツイな」
苦しそうに呟かれ、羞恥に全身が熱くなる。
「空木殿、匂いを抑えてもらえないか? これ以上は、さすがに俺でもキツイ」
「抑えるって……どうやって?」
戸惑いながら訊くと
「すまない、空木殿。約束を守れそうに無い」
苦しそうに顔を歪めたソイツは、そう呟くと俺の両手を握り締めると唇にキスを落とした。
舌を差し込まれ、口内を犯されて行く。
肉厚な舌が僕の舌を絡め取り、ザラザラとした感触が舌と上顎を撫でるように絡めとる。
ジワジワと湧き上がる快楽に、口の中にも性感帯があるんだとぼんやり考えていた。
唇が離れ、名残惜しさに舌がソイツの舌を追いかけるようにしてしまうと
「そんな可愛い顔をされると、全てを奪いたくなってしまうな」
と囁かれた。
舌先と舌先を擦り合わせると、僕の舌を吸いながら唇で挟み扱き始めた。
(キスって……こんなに気持ち良いんだ……)
気が付くと、首に腕を回してキスに溺れていた。
するとソイツの手が僕の背中から臀、太腿から内股へと這わされて、性感帯に触れると身体がピクっと飛び跳ねた。
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