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プロローグ
人生には、信じられないことが突然起こり得る。
それが今、まさに僕の身に降り掛かっている。
「うわぁぁぁ~~~~!」
僕は今、上空のかなり高い場所から地上へと真っ逆さまに落ちている。
これはきっと……バドエンで妹のBL漫画を強制終了させてしまった僕への、腐女子達の呪いなんだと思った。
(さようなら……短かった僕の人生)
段々と街並みが見えて来て、見知らぬ景色が広がっている。
その時
「リン!」
異国訛りではあるが、誰かが僕の名前を呼ぶ声が聞こえた。
すると下から風がふわりと僕の身体をゆっくりと浮き上がらせて、落下速度を落として行く。
それはまるで、鳥の羽根が宙を舞うように緩やかに僕の身体が地上へと舞い降りて行く。
そしてそんな僕の身体を、誰かが優しく抱き留めた。
驚いて見上げると、長い漆黒の髪を後ろで一つに束ね、褐色の肌に似合う彫りの深い、身震いする程に綺麗な顔をした男の黄金の瞳が信じられないものを見るように見開かれて僕を見つめていた。
そして僕を軽々とお姫様抱っこしているこいつは
「リン! 本当にリンなのか?」
低いイケボな声で叫ぶと、僕を宝物のように抱き締めた。
「…………マジか」
僕、空木鈴音〈うつぎ りん〉(二十三歳)は、どうやら腐女子の妹の、しかもR18指定の同人漫画の世界に転移されてしまったらしい。
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