皇太后陛下、イケメンになる?!

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皇太后陛下、イケメンになる?!

「いやー、私もまだまだいけるわね!寸法もぴったりだわ。昔で質屋で手に入れた男装捨てないで良かった!」 鏡には年も28,9頃、スラリと見目麗しい美青年が映っている。皇太后の浮気相手と疑うものはいても、これを皇太后だと思うものはいないだろう。 雲泪ユンレイに尚服(衣装担当の宮女)の小梅シャオメイが少し困ったように話しかける。 「皇帝陛下の花嫁探しに行かれるのに、それでは皆さん雲泪ユンレイ様に恋してしまいませんか」 「そうかしらねえ…」 確かにうら若き乙女をスカウトしにいくのに、これでは問題があるかもしれない。見目にノコノコ惹かれるような尻軽な女性は理想的な花嫁候補でもない。 少し肌を汚してみたところで、際立つばかりの美貌である。むしろ少々浅黒い方が野趣溢れる。 「困ったわ」 「なあにが困ったもんかね、私に任せな」 2人の後ろから尚服の茉莉ムオリーが声をかける。その手には着古しの色褪せた服がある。 「ボロだが洗いたてで清潔だから、大丈夫だよ。美男子によってくる娘じゃなくて、田舎もののおばちゃんに優しくしてくれる気立てのいい嫁を探しに行かないとね」 なるほど茉莉ムオリーの服は絶妙なダサさである。そして髪と化粧を直せば、不思議なことに素材はいいが残念なご婦人に仕上がった。 「こうゆうのは思い切りが大事だよ」 「ありがとう!茉莉ムオリー」 「しかし、1人で行かせるのは心配だねえ、影のおつきはつくのかい、小青シャオチン」 「逆にこれなら大丈夫よ!誰も私を皇太后だなんて思わないわ」 1人で行く気満々の皇太后陛下に、侍女3人は顔を見合わせた。 「せめて小黒シャオへイをお供にして欲しいんですが、なにやら今朝皇帝陛下に呼ばれたようで」 小青シャオチンの言葉に雲泪ユンレイは首を傾げる。 「変な組み合わせね、今更武道に目覚めて剣術の教えでも乞うのかしら」 賑やかに朗らかに準備は済み、警護の影が2人つくことを条件に皇太后陛下は城の抜け道から、市井へ繰り出すのであった。
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