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32迷いは続く
ふたりはいつの間にか立ち上がっていた。
ダイニングルームの中で向かい合わせに立ったままだ。
突然セルカークがぐるりと回りこんで手を伸ばす。
ミモザの手を取ろうとしたがミモザは一歩下がって言葉に詰まった。
(どうしたらいいの?
本当の事を話すべき?
私はシルヴィの生まれ変わりだって?
そんな事言ったら彼は私を遠ざけるに決まっている。
何も知らないふりをして一緒にやって行ける?
何もなかったふりをして笑い合えるの?)
答えなんか出なかった。
「しばらく考えさせて下さい」
「ああ、わかった。好きなだけ考えてくれ」
セルカークは伸ばしかけた手をおろした。
「先生。実は私、明日ここを出て行きます。教会で仕事をするつもりなんです」
「どうして?ここでも仕事は出来るじゃないか!やっぱり。そんなに一緒にいるのはいやなのか?」
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