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ミモザが大声を出せないことをいい事に義理父がミモザの腰をぎゅっと引き寄せた。
「さあ、いい子だ。なに、少しここに触れたいだけだ。屋敷ではあいつが部屋の外にいると思うと一切の情を挟めない。なあ、わかってくれるだろうミモザ。私だって興奮させるためにはそれなりの雰囲気が必要なんだ。ここでほんの少し弄らせてくれれば、今夜はすんなりいく。その方がお前もいいんじゃないのか?」
義理父がなにを言いたいのかそれくらいの事はわかっている。
あいつとは義理母のリリーの事であり、どうしてこんなことを要求して来るのかもわかっている。
ミモザはキャメリオット公爵家の嫡男ライオスと結婚した。
ライオスは父宰相の執務補佐官という肩書だが職場に来ることは滅多にない。
子供はライオス一人だし彼と結婚したからにはミモザが子を孕まなければならなかった。
公爵家の跡取りを。
なのに…
ミモザは思い出したくもない初夜の夜の事をまた思い出した。
初夜の夜、ライオスは母親にひどく言われたのだろう。
ミモザの頭の中にはあの夜の親子の会話が想像できた。
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