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先ほどだってちらちらと優越感に浸った視線を送ってきていた。
「いいねー、やろう、やろう」
すぐに佐々木もそれに乗ってくる。
「西木もやるだろ?」
「えっ、あ、……うん」
適当に笑顔を貼り付け、それに追従する。
僕は三人の中でも一番気が弱く、いつも彼らに従うだけだった。
いや、従って仲間にしていてもらおうと必死だった。
「で、なにやる?」
「そーだなー……」
とはいえ、小心者の僕らにそんな大それた行動ができるはずもなく。
――放課後。
「これが例の祠か」
「ああ」
三人で校舎裏にある、半ば朽ちかけた祠を取り囲む。
敷地の片隅にあるそれは、いつからそこにあるのか誰も知らない。
ただ、壊すと呪われるという話だけがあった。
「……本当にやるのか」
佐々木がうかがうように鈴木の顔を見る。
「怖じ気づいたのか?
まさか、本気で呪われるとか思ってる?」
わざとらしくからかう鈴木の声も震えていて、強がっているのは丸わかりだ。
「そ、そんなわけないだろ!」
真っ赤になって佐々木が虚勢を張る。
そんなふたりを僕は、やはり曖昧な笑顔を貼り付けて見ていた。
「じゃあ、やるぞ」
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