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しかし、虚勢を張っているのはバレバレだ。
「んー?
もしかして君ら、理系の生徒?
じゃー、知らないかー。
俺は日本史を教えてる、忌宮だけど?」
緩くへらへらと笑い、おじさん――忌宮先生はどこからか煙草を取り出した。
「なんで日本史の先生が白衣なんて着てるんだよ!」
佐々木の疑問はもっともで、僕もうんうんと頷いていた。
「服が汚れないようにに決まってるだろ。
白衣って防汚服だからな」
なに当たり前のこと聞いてるんだ?と不思議そうな感じで先生は言っているが、そもそも日本史教師で服が汚れる事態なんてそんなに頻繁にあるんだろうか。
「知るか、そんなの!
というか、学校の建物?を壊したからって、オレたちを怒るのか?」
鈴木がさらに先生のほうへと一歩、踏み出す。
彼は不本意そうだが、状況的に叱られても仕方ない。
「んー、俺はどーでもいいけどよー」
自然な動作で煙草を咥え、先生は火をつけた。
「お、おい!
いくら教師とはいえ、こんなところで煙草を吸っていいのか!
NyanTokに晒してやる!」
弱みを握ったとばかりに佐々木と鈴木は携帯をかまえ、忌宮先生を動画で撮影しはじめた。
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