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新たな旅の始まり
静かな小さな町に、夢と希望を育む特別な場所、共育(ともいく)学校が在った。
「ここ、か…」
ド田舎のバス停留所で降りた俺、千夜保(せんやたもつ)は、荷物を降ろすと、のどかな風景を見渡した。
俺がこんな辺鄙な所まで来たのは、訳がある。
死んだばーちゃんが俺に与えてくれた、パティシエになりてーという夢。
だが、都会の学校で不良として、喧嘩に明け暮れていた俺は、いつしか、その情熱を見失っていた。
そんな時、共育学校の話を聞いた俺はダメ元で、入試を受けて合格した。
ここでなら、もう一度、パティシエになる夢を持ち続けられるかもしれねー。
確か共育学校は、小さな学生寮が在った筈だ。
俺は「うーん!」と伸びをすると、田舎道を学生寮に向かって歩き始めた。
しばらく歩いて行くと、俺と同じようにデケー荷物を運びながら歩く3人組が見えてきた。
もしかして共育学校の入学者たちか?
そうは思ったが、馴れ合うつもりはねー。
俺は構わず、3人組を追い越した。
と、途端に後ろから声を掛けられる。
「ねえ!そこのキミ!」
面倒くせーな…。
そう思った俺は構わずドンドン先に向かって歩こうとした。
ところが声は尚も掛かる。
「無視しないでよう!キミも共育学校の生徒じゃないのー?」
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