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青年は美しい顔で固まっており、私たちの間に10秒ほどの沈黙が流れる。
(な、何か言わないと…!)
自己紹介?その猫のこと?
いや、普通に考えて挨拶だ!
そう思い、私が口を開きかけた時ーー
「可愛いでしょ、この子」
沈黙を破ったのは、彼のほうだった。
猫を持ち上げて、私の方に見せてくれる。
ニコッと笑ったその顔の美しさに、思わず見惚れてしまった。
すらっと通った鼻筋、三白眼の目、薄い唇がスッキリとした輪郭中に綺麗に収まっている。
肩まである髪をハーフアップにしており、どこか中性的で妖艶な雰囲気を醸し出している。
「え、ええ。とても」
ここ、ペット不可ですよね?
とか、そんな野暮なことはどうでもよい。
イケメン(あえて端的にそう表現する)と猫の組み合わせを目の前にすると、人は言葉を失うのだ。初めて知った。
そんな私を見て青年はくすっと笑うと、また猫をごしごしと洗い始める。
「名前、つけてもらえませんか?」
「え?」
「お姉さん、なんかセンスありそうだし」
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