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不倫相手と友達になれって?
最初の違和感は真史さんの服装が変わったことだった。
いつも駅構内のカジュアル服屋で適当なワイシャツやチノパンを買っていた真史さんだが、ある時からネットで服を買うようになった。
ブランドものを身につけ、合わせてメガネや腕時計も新調し始めた。
その当時、それが不倫の予兆だったなんて夢にも思わなかった。
「最近営業について回って、直接クライアントからの要望を一緒に聞いてるんだよ。だから、綺麗な服装で行かないとね」
そんなもんか。
エンジニアの仕事内容がよく分かってなかった私は、妙に納得してしまった。
その当時の私は、仕事で疲れ果てていたこともあり、思考力が落ちていたことが原因でもある。
勤めていた職場でひどいパワハラを受けていたのだ。
知り合いが紹介してくれたITベンチャーで総務として入社したのだが、その知り合いは私が入社した当日に退職。
つまり、身代わりだった。
日々、総務部の部長による暴言に精神をやられていた私は、ある日パッタリ会社に行けなくなってしまった。
鬱の手前だった。
そんな私をみかねた真史さんは、家に真美ちゃんを迎え入れ、私の相談相手になってあげてほしいと言ったのだ。
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