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はじめて彼女が家に来た日
はじめて彼女が家にやって来た日のことを、今でも鮮明に覚えている。
栗色のボブヘアにふわふわのニット、形のよいお尻を強調するかのようなタイトなフレアジーンズ。
唇はツヤがあり、まつ毛は綺麗にカールしていて、ネイルは派手でなく控えめだが清潔感があるピンクベージュ。女として隙がなかった。
「突然来てしまって、すみません。真史さんからお話を聞いて、少しでも助けになれたらって思って…」
上目遣いで見上げてくる目の前の小動物の可愛らしさに、女の私でもキュンとしてしまった。
妻である私の前で「真史さん」と下の名前で呼んだことに多少の違和感を覚えたが、そんな私の様子を察してか「うちはフレンドリーな社風だから」と、真史さんから謎のフォローが入った。
それから真美ちゃんは、私の話を親身になって聞いてくれた。
同じ総務という仕事という共通点もあり、話が弾んだ。
職場では気軽に相談できる同性の同僚がいなかったということもあり、話を黙って聞いてくれ、適当に相槌をうってくれる存在がいるということだけでもありがたかった。
こんないい子と出会わせてくれた真史さんに、心から感謝すらしていた。
何度か家に招き、真美ちゃんと直接SNSで繋がるようになった私は、真史さん抜きで会うことを提案したが、なぜかその時だけは断られた。
真史さんがいないと私と会う意味がないことに気づいたのは、あの日のメッセージがきっかけだった。
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