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離婚してください
寝起きの真史さんの目の前に、真美ちゃんからのメッセージが表示された画面を見せつける。
「これは?」
怒りで頭がおかしくなりそうで、そんなセリフしか出てこなかった。
やっと状況を把握したのか、真史さんは目を見開き、スマホを私の手から取り上げた。
「痛っ…」
真史さんの爪が私の指を掠め、痛みが走る。
「ご、ごめっ…」
反射的に謝る真史さんが、惨めで憎くて、ふと(もういいや)という思いが湧いてきた。
好きだった。
たしかに好きだったのに。
5分前までは。
こいつはあえて私に不倫相手を紹介し、
私に見えないようにイチャイチャし、
私をただ不倫のおもちゃとしか見てない、
クズだ。
私が「離婚…」と言いかけたその時、ヤツは「離婚してほしい」と被せてきた。
そして丁重に頭を下げ、もう一度うやうやしく「離婚して下さい。お願いします」とはっきり言い放ったのだ。
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