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誰も信じない
「真史さん、会いたくないって言ってました」
「は?」
不倫女ーー真美ちゃんとの再会は、突然訪れた。
来客用会議室でなぜか2人きりの状況。
しかも、真史さんは来ない?
それを堂々と私に言いにきたのか?
理解が追いつかず黙っていると、真美ちゃんが口を開く。
「会社に来たってことは、私と真史さんの関係を公にして、私たちを社会的に追い詰めようとしているんですよね?」
「こういうの、やっすい不倫マンガでよく見る展開ですよね〜」
「土下座でもさせようとか思ってました?」
半笑いの彼女は、今まで見たことない悪魔の顔に見えた。
「そうだとしたら、なんなの?」
「残念でしたー!」
突然大声を上げる。
彼女は今、別人のようにイキイキしている。
「この会社では、真史さんの奥さんは統合失調症を患っていて、有る事無い事妄想して家では真史さんに暴言を吐いて、おまけに暴力まで振るってるって噂で持ちきりなんです」
「な、なんでそんな嘘を…」
「私がつきました♡」
「真史さんってツメが甘いから、いつかバラしちゃうかなって。だから、事前に噂を流しておいたんです。
アンタは私と真史さんが不倫してるって妄想して、会社に押しかけてくる、頭のおかしい女だって」
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