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勝ち誇ったような表情の真美ちゃんを見て、つい笑いが込み上げてくる。
「あたまがおかしいのは、アンタでしょ?」
「は?」
目の前の、綺麗に整った顔のパーツが若干歪む。
「不倫相手がアホで助かった」
そう言い放ち、私はバッグからA4の書類を取り出した。
真史さんと真美ちゃんのLINEのやり取り、真史さんの財布の中にあったラブホテルのレシート、真史さんのスマホの写真フォルダにご丁寧に保存されていたハメ撮りを、私はテーブルの上に一枚ずつ並べてあげる。
そして、スーツのポケットにしまっている音声レコーダーを取り出し、先ほどの発言が録音されていることを確認し、テーブルの上に置いた。
青ざめた顔の真美ちゃんは、唇をわなわなと震わせている。
「もっといいもの見せてあげる」
そう言って、私は自分のスマホに録画されている動画を再生した。
そこには真史さんが、真美ちゃんとどう知り合い、なぜ不倫の関係に至ったのか、事細かに話していた。
真史さんの頭の中は、私と早く離婚して真美ちゃんと一緒になることしか考えてないのだ。
証拠がなければ離婚慰謝料が発生しないかもしれないのに、ご丁寧に自分たちがどれだけ愛し合っているかを、私に分かって欲しいのだ。
「真史さんが今日この場に来なかったのは残念だけど、あなたとお話できてよかった」
「くっ…」
「慰謝料、たっぷりもらいますから」
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