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担任は、高圧的で人の話を聞かない、高齢の男性だった。
今思えば、彼も辛い思いをしてきてなにかしらの岐路に立たされていたのかも知れない。一年で、いなくなった。
それはまた、別の話。
ほぼ保健室登校でも、小学校2年生くらいの学習内容なら問題なかった。
それもまた、彼らが腹を立てる理由のひとつだったかも、しれないが。
真実は闇の中。
図工と国語は好きだから授業に出られたけど、グループワーク的なものがある道徳や体育は、地獄だった。
わかりやすく仲間はずれは当たり前、持ち物を隠されたりゴミ箱に捨てられるのもよくあった。
ゴミ漁り、と嘲笑われるのはしょっちゅうだったから、ゴミ、と呼ばれるモノたちに可能性があるという価値観はこの辺りがスタートかもしれない。
これもまた、別の話。
特に体育は運動が苦手、走るのも遅くて嫌いだったから、運動会前なんかは本気で照る照る坊主に髪の毛を書き殴って逆さに吊していた。
休み時間が一番の苦痛だった。
鬼ごっこもごっこ遊びも、ただの拷問だったから。
大人の目があるとイイ子になるいじめっ子達から逃れるには、保健室が一番適していた。
休み時間、あとは、頑張ってもどうしても足が竦むときは、保健室で過ごした。
宿題や課題があれば片づけてから、あたしはひたすら本を読んだ。
元々活字中毒の気があったあたしは、新聞でも絵本でもお便りでも、其処にあるモノを手当たり次第に読む癖があった。
何かを読んでいる間は、誰かの悪意から離れられるから。
大人は、放置してくれる。
子供は、気味悪がって近づかない。
そして、ちゃんとした人、は
適正な刻に声をかけて、適度に現実に繋ぎ止めてくれる。
図書室の本か、自宅にあったのか、始まりは憶えていないけど、
その後あたしは。
ある意味運命の一冊 を、
唯一安心できる保健室で百回近く読み漁るのだ。
その時のあたしには
知るよしもなかったが。
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