Episode1

5/17
前へ
/125ページ
次へ
いつもの帰り道をスマホ片手に帰っていると、隣に黒塗りのセダンタイプの車が私の横でゆっくりとスピードを落として止まる。 「は…?」 こんな車を乗る知人は思い当たらない。 窓がウィーンと音を立てて開くと中からサングラスをして三日前に会ってちょうど今日タイプだったって話していた男が居た。 「あ、やっぱり美結ちゃんじゃん」 と少しサングラスをずらしてこちらを見ている。 嘘でしょ…。 もう会うことはないと思っていたのにそれどころか名前まで把握されていた。 お酒の場で酔いながら名乗ったに違いない。 自分の危機感のなさを改めて実感した。 「乗んなよ、あの日朝置いてけぼりにしちゃったし、送ってあげる。」 「いや、結構です。」 すぐさまお断りして少し速歩きするも車からずっと話しかけられて思わぬ目立ち方をして周知にさらされた結果、この男の言う通り車に大人しく乗るしかなかった。 もし何かしてきたら警察と電話する準備だけしとこと、スマホの電話の番号を110にして後はタップするだけで繋げられるように準備をしておく。 襲ってきたら急所を蹴る準備も…。なんて心構えだけして、助手席で大人しくする。
/125ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加