Episode2

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私の後ろを離れること無く付いてくる蓮也に思わずその足も止まる。 「何で付いてくんの、あんた」 「え、迷惑かけたお詫びに何でも買ってあげようと思って。それなら俺は美結と一緒に居れるし良くね?」 本当この金持ちのボンボンはまず人の気持ちを大事にすることを覚えたほうが良いと思う。 「あんた、私と遊びにここまで来たわけじゃないでしょ。女の人がその場に置いていかれることがどんなに惨めか考えたことある?」 蓮也の方を見ること無く有希の元へ少しでも早く戻ろうと、歩みを進めていたときだった。 「…別にどうでもよくね?女だって別に都合のいい男のことはすぐ捨てるし、金づるとしてしか見てねぇじゃん」 蓮也の低い声が聞こえてきて思わず立ち止まって顔を見てしまった。 酷く冷たい表情をしている。 女遊びなんてしている割に別に女の人が好きではないみたいで、むしろ恨んですらいるようなそんな表情。 自分で何を言ったか自覚がなかったのか、ハッとしてすぐさまいつもの掴みどころのない笑顔を見せる。 「なーんて、あの子はそういう子だったから別に俺が居なくても平気なの」 明るい声でさっきのをなかったことにするように話す。
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