Prologue

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「お兄さん、誰かいい人いたら紹介して…」 「あー」 声を漏らすと隣の椅子が引かれる音がする。 「何、恋人探し中?」 隣を見ると、目の見える薄いサングラスを掛けた襟足の少しだけ長い黒髪の男の人がいた。 え、顔、良。 こんな顔面国宝に過去に会ったことがない。 「まあ、そんなところです。」 苦笑いしながら答えると頬杖を着いた男の人が「へぇー、可愛いのに彼氏いないんだ」なんて言ってくる。 遊び慣れてる人だ、この人。 もう何かちょうど話を聞いて欲しい気分だったしこのまま何も知らない人に愚痴ってしまおう。 「今日友人の結婚式だったんです」 「へー、それはおめでたい」 「そうなんです、おめでたいんです。」 そう力強く言うけど、実際おめでとうなんて思えてなくて。
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