Episode3

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来たのは出会った時に来たバーだ。このバーでの思い出は随分苦い。 「てか私禁酒だって言わなかった?」 「安心して、ここノンアルも結構行けるから。それとメインはあっち」 端に2台ほど置かれているダーツを指差す。 ダーツ? 私は当然やったことがない。 「あれ、蓮也来たの?それと、そちらの女性はこの間のきれいなお姉さんだ」 結婚式のあの日ずっと慰めてくれていたバーテンダーさんが親しげに蓮也に声を掛ける。 私のことも覚えてくださってて嬉しいような複雑なような、眩しいほどの笑顔を直視できない。 「今日は俺が口説きに来てんの、口説くの止めて」 「蓮也じゃないんだから誰彼構わずそんなふうにしてないよ」 呆れた様に笑うこのバーテンダーさん。 本当もっと言ってやってほしい。
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