Prologue

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「でも、私酷い女なんです。自分が幸せになれてないからって人の幸せお祝い出来なくて、そりゃ恋人なんてできるはずないですよね。」 見知らぬ人にこんなこと話すなんて酔ってたと思う。 もちろんこの話をした記憶もある。 隣に座る男の人が頬杖を着いたまま前の方を見ていて「そんなもんじゃない?人なんて」と呟いていた。 「え?」 「むしろいい子ちゃんぶって、取り繕う子よりも今本音で話してるあんたはいい女に見える」 なんて言いながら私のバーのカウンターに置いていた手を上からそっと撫でてくる。 その撫で方がなんとも少しやらしくて、そういう気分にさせてくる。 この時点で判断能力が普通じゃない。 「人肌寂しいときもあるよね、今俺もそんな気分。」 私の手の甲をぎゅっと握りしめるようにして、捕まえてくる。 「…どういう意味ですか。」 「どういう意味だと思う?」 なんて怪しく笑う男の顔から目を逸らせない。
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