かつて存在したある大陸についてのおはなし

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 その大陸には、いくつもの国があった。  ある時、それらの国を等しく見守ろうと、神さまはそれぞれの国に一人ずつ天使を遣わした。彼らは請け負った国を見守り、その様子を神さまに伝えた。彼らはみな真面目で、与えられた仕事をしっかりとこなした。  彼らのおかげで、大陸は平和を保っていた。  悪いことをすれば天使たちがそのことを神さまに報せ、神さまはその国に罰を下す。人も国も、そう信じて疑わなかった。人々は善良に振る舞った。誰も傷つけず、誰とも争わず、たとえ意見がぶつかっても、穏やかな話し合いのうちに諍いを収めた。  とある国―ーA国が、隣のB国に攻め入るまでは。
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