第四章・業火の海 第二話

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 ダミアンは山口や博多での布教の時からアルメイダと共に居る。 「そうですね。簡単ではありません。しかし、その教訓の下で横瀬浦の成功があります。アルメー殿も、もちろんトルレス司祭も、バルトロメオ殿には感謝しておりますよ」  ダミアンも純安と同じように、自分の仕事を振り返ると悔いる所が少なくなかった。その心中の靄を察してか、純安がダミアンに木刀を差し出した。 「久しぶりに手合わせなどどうですかな?」  純安は修道士ダミアンと話すキリシタン、ドン・ルイスから、剣の師、純安に態度を変えてダミアンを誘った。 「もとよりそのつもりで参りましたので」  ダミアンは差し出された木刀を受け取り立ち上がった。  同じ頃針尾城では、浄印が貞治の前に座っていた。 「伴天連はまだ通らぬようですな」  浄印はそう言って、落ち窪んだ眼を怪しく光らせ膳の上の鯛を箸で突きながら針尾の様子を伺っている。 「策は練っております。この海は我々にとって大きな武器」  貞治は額に浮かぶ汗を拭いながら浄印の目を見返した。当然ながら浄印は、貞治がフロイスに計画を漏らしているなど知る由もない。
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