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「固い……」
「ごめんな、ゴツくってぇ。雅人はふわっふわで、あー気持ちいい」
「女の子じゃないですよ」
「知ってる。女の子と比べたら段違いに抱き心地がいいしね。雅美ともハグするの?」
「しませんよ。子供じゃあるまいし」
「じゃあ、ぽっちゃりしてる君の体の抱き心地がいいのを知ってるのも俺だけか」
勝巳はうっとりと呟いて顔を埋めた雅人の首元で大きく深呼吸する。そこで雅人は急に恥ずかしくなって、体を強ばらせた。
「へ、変態」
「甘くていい匂い。ミルクみたいな。ずっと嗅いでいたい」
「甘い、って……母さんには……甘い物の食べすぎって……言われてて」
「じゃあ、このいい匂い知ってるのは俺だけだな。ふわふわのお菓子みたい」
「ふわふわ、とか……兄さんは、鍛えろって……五月蠅いのに。運動、苦手で」
「運動音痴でもいいじゃない。その代わり雅人にはペンの力があるだろ。なんたってざわついた講堂を一瞬にして黙らすようなスピーチから、高校生男子の腰をめろめろに抜き倒すどぎついエロ小説まで書ける」
耳元で囁かれ、雅人は全力で勝巳の肩を押しのけた。
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