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差出人の名は、ノールフェン。愛称はノール。
とある銀河のとある星系、惑星ムーサと言う名の星で出会って、特別な日々を共に過ごした、特別な人。
今となれば、だった、人だ。
「何だ、これ」
最初は、間違った相手に送ったんじゃないかと思った。それともノールを騙る詐欺か悪戯かな、とか。
ノールは惑星ムーサの技師で、働き者の頑固者。品の無い冗談が得意じゃなくて、プライド高めなところが邪魔をしてはっきりとした愛情表現は苦手なタイプだ。少々口が悪いのは、照れや弱さ隠しのための裏返し。それに気付いてから見れば、充分に可愛く思える人だった。
気が強いところが表に出てるときなら、年上の男の自分にそんなことを言うなって、ずいぶん古風な感覚でものを言うこともあったけど。
だからこそだ。そんな人が、こんな内容のメッセージなんか送ってくるはずないだろう。と、思う方が正常だ。
「仮に本人だとして、こっちは大失恋したと思って何年も引きずってんのに、一体どういうつもりで」
この旅行だって、それを吹っ切るための、いわば傷心旅行みたいなものだったというのに。
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