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「ま、詩的な言い方をしてやらなくても、お前は俺が世話してる若手の中でも真面目な方だからそう言わずに済んでるだけさ。それにお前、結構見込みもあるしな」
「それ本当ですか?」
「ああ。だからまあ、泡になっちまえなんて言うには、俺もまだ惜しいわけだ」
「よかった……」
「それでな。今日はお前に、お前専用の装備一式揃えてやろうかなと、思ってここまで来たわけなんだが」
「えっ!」
おれが驚きと、素直に嬉しさで、いいのかと返したら、親方は何かをいくつか考えてから頷いた。
「うん。たぶん、お前なら上手くいくだろ。たぶんな」
「え? たぶん? タブンって、ナニがデスカ、親方……?」
不穏な言葉を残されて、嬉しさから一気に不安に振り切ったおれがその先で出会ったのが、あの人だった。
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