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夏祭りは夕方5時からスタートする。
子供神輿や盆踊りから始まり、無料のゲームやお菓子の屋台、その後7時過ぎからは地区の花火が上がる。
お弁当と飲み物が配られ、花火が終わる8時に解散、という流れ。
基本園児と家族のみの参加だけれど、煌河くんちのように都合があるお家、祖父母親戚が参加したいという要望があれば事前受付で家族以外も受け入れているから、まあまあの人数が集まることになる。
また職員の家族や親しい人も参加可能で、家庭のある先生なんかは旦那さんやお子さんも来たりする。
それでのんも参加してくれるはずだったんだけれど、もう今年は来てくれないだろう。
職員は準備の為、午後3時に集合。
華を添える浴衣組は私を含めた若手の先生5人のみ。
他の先生は、動きやすい園指定のTシャツ&ジャージといういでたちだ。
「センスの良い浴衣〜!とっても似合ってるよ」
先生たちに褒められても、気まずさしかない。
「のんちゃんに会えるの、楽しみだわあ」
私とのんが園児だった時代からいるベテランの大木先生。
夏祭りに是非誘いなさいと言ってくれたのも、大木先生だった。
仕事で来れなくなったみたい、とでも言い訳しようか。
だけどもしかしたら来てくれるんじゃないか、という淡い期待もまだ捨て切れずにいた。
4時30分になり、受付スタート。
次々に親子が来園し、園庭に流れこんでいく。
「のぞみせんせい!!」
甚平姿の煌河くんが、元気よく走ってきた。
その後方から、ママの葉月さんと───唯くんも付き添うように歩いてくる。
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