夏祭り

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その後お弁当と飲み物を配り終えれば、先生としてのお仕事もいったん終了。 ドォーーン、と花火があがり、みんなそれぞれ保護者やお友達と配られたお弁当やお菓子を食べながら、しばし花火鑑賞。 テラスの端に座ったり、芝生に腰を下ろしたり。 次々と夜空に咲く大輪の花に、感嘆の声があがる。 のんと話し終えた唯くんも、葉月さんと煌河くんと一緒にテラスにいるのが遠目からわかった。 戻ってきたのんにも、お弁当とお茶のペットボトルを渡す。 「これ鳥庄の鷄めし弁当じゃん。 俺らん時おにぎり2つとかじゃなかったっけ」 「梅やおかかが食べられない子が多いんだよ。 かといって人気のツナやたらこは夏場で傷みが心配だしね」 「だからって贅沢だろ。いいねえ今時のガキンチョは」 そう言いながら「うま、」と箸をすすめる様子を、じっと見つめた。 すぐに気付かれニヤリとされる。 「のぞみ先生、今日俺のこと見過ぎじゃね?」 「……ごめんね、のん」 「あーね、いいよあれはもう」 箸をすすめながら、何でもないふうに続ける。 「元はと言えば、俺がそうさせたようなもんだし。言えない雰囲気作ってたもんな」 「でも、」 「ハンバーグすげえ美味かった。 きぃの分と2つ、ぺろっといけたわ」 「食べたの?」 あんな、ご機嫌取りのおかずを。 「ハンバーグに罪はねえし。 それに、俺のこと考えて作ってくれただろ」 「それはもちろん、そうだけど」 てっきり捨てられたと思っていた。 どうしよう、すごくすごく嬉しい。
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