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軽く片付けをして、本格的な片付けは週明けにすることになっている。
すぐ終わるからと、のんに待っててもらって、一緒に歩いて帰った。
「この下駄、ちっとも足が痛くならないね」
「だな。こうして浴衣で一緒に歩きたかったから、鼻緒が痛くなんないやつってのにした。
当たりだなコレ」
わざと、カランコロン、と音を立ててみたりしている。
「のん、その浴衣やっぱりすごく似合ってる。
ママさんたちに、結構チラチラ見られていたもんね。
牽制するなんて言って、そっちは全然だったんじゃないの?」
「いやーそれが意外と」
楽しそうにクスクス笑ってる。
私が見ていないところで、何かあったんだろうか。
「今回のことで、きぃが俺に首ったけってことがよーくわかったから、全部良し、マル」
「私、なにもしてないけど?」
「うん、無自覚だから余計いいわ」
ははっと笑って、繋いた手をぎゅっとまた握りしめられた。
よくわからないけれど、のんの機嫌はとっくに直ったらしい。
「だけど本当に、ごめんね。もうああいうの、今後一切やめるから」
「ああいうのって?」
「下心持ってお風呂一緒に入ろう?って言ってみたり、これみよがしなゴハン作ったり。
あと、へんな甘え方するのとか」
「じゃあ下心なしで今度は俺だけのためによろしくな」
「それは無理。恥ずかしい、出来ない」
「自覚ないとこでは色々やってんのに?」
「え…なんか私やってるの?」
あーやべ、みたいに舌をぺろっと出して「なんでもないでーーす」と誤魔化された。
なんだろう、すごく気になる。
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