夏祭り

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「あ、そうだ。約束したんだった」 「約束?」 のんを視線だけで見上げると「うん、」と今度は唇を重ねられる。 「帰ったら、浴衣のきぃをめちゃくちゃ堪能するって。お互い、浴衣のまま激しく愛し合うって」 頬が一気にかぁぁ、となる。 「えっ、そんな約束した?」 「誕生日からつけないでしてるから。今日もつけないでいっぱいする、って」 「して、ないよね?そんな約束」 そんな約束忘れるわけないし、そもそもするわけない。 「したもん」 可愛く言うけど、してないものはしてないよ? 「唯くんと、した。約束っつーか、宣言?」 のんの口から「唯くん」の言葉が出るなんて。 一瞬呼吸が止まったけれど、え、唯くんにそんなこと、言ったの? 「俺、嘘つきになりたくねえんだけど」 にこ?と笑って、私を抱き寄せる。 「だから、しよ?」 耳元で囁き、キスを落とされた。 のんの「しよ?」に抗えたためしはない。 「いいよね、きぃ」 艶めいた声に小さく頷くと、耳元からゆっくりと唇が離れた。 キスし合ったおでこをこつん、とくっつけてくる。 そのまま唇を覆うように数回啄まれ、ソファにどさりと押し倒された。 「きぃ、」 甘えるような、愛おしむような声で呼ばれただけで、体が小さく震える。
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