さよならモーニング

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さよならモーニング

 飲み物は、決まってココア。  寒い時はあったかいやつ。  ココアの上に乗った生クリームが溶けていくのを見ると、癒される。  溶けたクリームとココアを飲むと、口いっぱいに幸せが広がるのだ。  これだから寒い時期のココアはやめられない。  だからわたしは、喫茶店のメニューを開かずともココアを注文する。  父と弟は同じようなポーズでしばし悩んで、母に「早く決めてよー。お腹減ってるんだから」と急かされてようやく決めるのだ。  既にホットココアと決めたわたしは、余裕の表情で辺りを見回す。  店内は、これぞレトロ喫茶を絵に描いたような内装だった。  小六のわたしでは、価値がわからないような絵なども飾られてある。
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