さよならモーニング

「なんで晴れとるだん……」

　わたしはそうつぶやいて、空をにらみつけた。
　今日はとうとう運動会。
　さかさまのてるてる坊主の効果もむなしく、空は快晴。最悪。
　せめて午後からの「豊川くだり」の時までに雨が降らないかな。
　そう祈るしかない。

　玉入れ、綱引き、低学年のダンス、大玉転がしを終え、お昼になった。
　お弁当は、運動会の見学に来た両親と四年生の弟といっしょに食べる。

　周囲がみんな家族といっしょに食べているのを見ると、なんだか喫茶店にモーニングに来ているみたいだ。
　そんなことを思って現実逃避でもしないと、やっていられない。
　私がおにぎりをほおばった瞬間。

「けーんちゃーん」

　小さな女の子が、弟に手を振ってこちらにやってきた。
　お人形さんみたいな顔の小柄なかわいい子。

「え、なに？　健のお友だち？」

　私が聞くと、女の子は元気いっぱいにいう。

「諏訪美樹です！　一年三組です！」

　かわいいなあ。
　それにしても、「すわ」っていったよね……。
　まさか、まさかね。