さよならモーニング

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 とうとう豊川くだりの種目の時間がやってきた。  マジでやめてほしい。  雨も降る気配ないし。  溜息まじりに馬になる。  すると隣で女子が話している声が聞こえてきた。 「昨日さ、中央公園行ったら、諏訪くん走っとった」 「あー、わたしも犬の散歩でよく見る。諏訪くんなんだかんだで努力家だよね」  そっか。  諏訪は、砂浜だけじゃない。  近所の公園も走って、ずっと練習してたんだ。  それなのに私は、運動会がなくなれと思っていた。  運動神経が悪いから。  でも、諏訪だって生まれもって足が速いわけじゃないんだ。  いっぱい練習して、速くなったんだ。  その時、わたしは心の中で「運動会がなくなってほしい」とか、「諏訪は練習しなくても速い」と思っていたことを恥ずかしく思えた。  ピストルの音と共に、豊川下りが始まる。  諏訪の足が背中を通り過ぎた。  わたしは急いで走って 最後尾に並ぶ。  諏訪はさすがの運動神経で、どんどん私たちがつくる川を下っていく。  いつも意地悪な男子も、だるそうにしている女子も、みんな必死で川をつないでいる。  いつの間にか、わたしもこのクラスが一番になってほしいと願うようになった。
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