5人が本棚に入れています
本棚に追加
「結局、来るだかん」
母が呆れたように笑ったのは車内でのこと。
運動会の次の週末。
私は、家族とモーニングへ行くべく父の車に乗っていた。
喫茶店「オレンジ」は、お気に入りの、でも諏訪家も来ていたあの店。
絶対に行くもんか、と思っていた喫茶店に行く理由。
それは、運動会以降、諏訪が私に絡んでこなくなったから。
無視をされているというわけではない。
ただ、だからと言って普通に話すわけでもない。
まったく接点のないクラスメイト、という存在になった。
つまり全然話さないのだ。
平和になった、と思ったのも一日だけ。
あまりにも諏訪が絡んでこないので、わたしは気になって諏訪を目で追うようになった。
でも、だからといってこちらから話しかける必要なんてない。
諏訪のほうから話しかけてくるなら、答えてあげてもいい。
それなのに、諏訪はわたしのことなんて見えていないかのようにふるまう。
だから、喫茶店に行けば、もしかしたら諏訪に会えるかもしれないと思ったのだ。
最初のコメントを投稿しよう!