さよならモーニング

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「結局、来るだかん」  母が呆れたように笑ったのは車内でのこと。  運動会の次の週末。  私は、家族とモーニングへ行くべく父の車に乗っていた。      喫茶店「オレンジ」は、お気に入りの、でも諏訪家も来ていたあの店。  絶対に行くもんか、と思っていた喫茶店に行く理由。  それは、運動会以降、諏訪が私に絡んでこなくなったから。  無視をされているというわけではない。  ただ、だからと言って普通に話すわけでもない。  まったく接点のないクラスメイト、という存在になった。  つまり全然話さないのだ。  平和になった、と思ったのも一日だけ。  あまりにも諏訪が絡んでこないので、わたしは気になって諏訪を目で追うようになった。  でも、だからといってこちらから話しかける必要なんてない。  諏訪のほうから話しかけてくるなら、答えてあげてもいい。  それなのに、諏訪はわたしのことなんて見えていないかのようにふるまう。  だから、喫茶店に行けば、もしかしたら諏訪に会えるかもしれないと思ったのだ。
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