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こうやって土曜日に家族と過ごして、ちょっとお出かけなんてすると、運動会のことや諏訪のことなんて忘れてしまう。
どうせなら、運動会なんて消滅してくれたらいいのに。
諏訪も、転校してくれたらどんなに平和か。
そんなことを考えつつ、ラグーナテンボスから車で帰る途中。
赤信号で停車した車内で、半分こしたイカの姿焼きを食べる。
おいしい、イカ。
そう思いつつ窓の外を眺めれば、海岸沿いが見える。
ちょうど砂浜を、誰かが走っていた。
なんだかその顔ですら諏訪に見えてきて、よほど私はあいつのことが嫌い――。
いや、あれは諏訪だ。
立ち止まって、はあはあと息を整えているのが遠くからでもわかる。
なんでこんな時に、諏訪を見かけるんだ……。
気分が一気に暗くなる。
それよりも、諏訪はなにをしているんだろう。
そう思っていると、諏訪はまた走り出す。
ひとりで真剣に、ひたすら砂浜を走っていた。
なにやってるんだか。
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