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「…あ、いや。」
「そうなんですね、どこの方ですか?俺ここ来てから日が浅くて、こんな可愛いお姉さんに道聞けてラッキーでした!まさか案内までしてくれるなんて。」
何とも言えない質問と何故か強めに感じる圧に恐怖を感じていると、誰かに肩を抱かれて更にそれにも驚く。
ふと顔を上げると、一ノ瀬先輩が「スマホで調べた方が早いと思いますよ」と言いながら、目の前の男性を睨みつけていた。
そんな怖い顔をしている先輩見た事が無い。
「あ、先輩…」
「あ、お連れの方来たっぽいんで…、他の方に聞きます!すみません!」
そう言いながら立ち去っていく男の人の背を見送る。
「(な、何だったんだ?)」
良く分からない事態に困惑していると、先輩は少し息を吐いてこっちを見る。
「何してんの」
「近くにカフェ無いかって聞かれて、場所を説明したのですが分からないから案内してくれと言われていた次第です。今ちょうど先輩に連絡して案内だけしに行こうと思っていました。」
「…お人好し。そんな事しなくて良いから、今時スマホもあるんだから、店の名前だけ言って調べさせなよ。」
先輩にそう言われてようやくアプリの存在を思い出した。
そこまで頭が回るなんて先輩はやっぱり頭が良い人だななんて感心してしまう。
「行くよ」
そう言いながら歩き出す先輩の後を慌てて追いかける。
結局先輩は何で先程の男性に向かって怒っていたんだろう。
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