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今日も遥か天空の場所から、人の群れを眼下に映す。忙しなく動く人影を見て、今日の“仕事”量をチェックする。
死に近い人を見定めて見守り、その魂を正しい場所へ運ぶことが、僕達“死神”の任務である。
「センリ、また見てるの?…本当にそれ、長にバレたら処刑モノだからね」
「心配されなくてもオレは上手くやるんでお構いなく。オレの心配してるとミコトちゃんが怒られちゃうかもよ〜、おサボり禁止!」
そんな軽口を叩きながら笑うセンリに呆れながら、彼の目線の先にいる“少女”を眺める。それから一拍置いて、その少女を見ているセンリも視界に入れた。
その表情を見て、---胸が痛くなる。とっくに身体は消滅しているのに、そんな幻肢痛を抱いているような気分にさせられる感覚が嫌いだった。
「…ミコトちゃんって言うな」
「だってミコトちゃんはミコトちゃんでしょうに」
「“倉田芽依”が死ぬのは、変えようのない事実だ。余計なことするとセンリが地獄を見るよ」
「ははっ、大切な人を守れるならオレは地獄に行ったって良いよん」
ふざけていたはずのセンリが、突如真剣な眼差しをこちらに向けた。
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