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適当なやつに見えてしまうセンリだけれど。それでも倉田芽依の側に静かに寄り添っている姿は、誰よりも真剣で。切なそうな表情を見れば見るほどに、苦しくなる。
あんなに痛い思いをしたのに、---まだ、苦しがることをやめられない。死神となった自分に、こんな感情は不要だと言い聞かせる毎日。
それでも、僕がここに来てこの世界の理を何も知らない時に隣にいてくれたのは、他でもないセンリなのだ。
きっとセンリは僕のことを友達ぐらいにしか思ってない。こんな気持ちを抱えていることが知られたら、嫌われてしまう。想いを伝えないことよりも、嫌われる方がよっぽど耐えられない。
きっとセンリは“地獄”に行くことを躊躇わない。僕がそれを止めたとしても、彼は留まってはくれない。
残り少ない僅かな時間を噛み締めるように、そっと目を瞑って祈る。
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