LorD

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『あ、おい‼︎』  すぐさま先輩…じゃなくて天使が追いかけて来る。 「ひぃーッ」  幽体のせいだからか、いつもよりも何倍も速く移動できるし息切れもしない。  一方、悪魔天使の方は普通に歩く速度で追いかけて来る。 『お前…何者(なにもん)だ?』  遠くからでも良く聞こえるイケボに思わず正直に答えてしまう。 「に、人間でーす‼︎」 『ハァ?マジかよ…とにかくそのラッパ返せよ』 「三十分後に返しますぅー」 『お前…邪魔するつもり?』 「だって、まだ死にたくないですもん‼︎」 『チッ…欲深(よくぶけ)ぇクソ人間が。吹く前は羽も力も使えねぇんだよ…あんまイライラさせんじゃねぇ』 「て、天使が命を奪うだなんて…お、おかしいと思います‼︎」 『神がそう決めた。俺たちは命じられた事を実行するだけだ』  威圧感の割には差は縮まる気配がない。  羽も力も使えないって事は、普通の人間状態って事? …だったら私、ワンチャン逃げ切れるんじゃない⁈  お菓子探しを楽しむ生徒たちの隙間を縫う様に走り抜けて行く。  とにかく逃げる。逃げて逃げて逃げまくる‼︎ 「野川‼︎」  不意に名前を呼ばれ振り返ると、そこには息を切らした一人の黒ずくめの男子生徒がいた。
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