24人が本棚に入れています
本棚に追加
『あ、おい‼︎』
すぐさま先輩…じゃなくて天使が追いかけて来る。
「ひぃーッ」
幽体のせいだからか、いつもよりも何倍も速く移動できるし息切れもしない。
一方、悪魔天使の方は普通に歩く速度で追いかけて来る。
『お前…何者だ?』
遠くからでも良く聞こえるイケボに思わず正直に答えてしまう。
「に、人間でーす‼︎」
『ハァ?マジかよ…とにかくそのラッパ返せよ』
「三十分後に返しますぅー」
『お前…邪魔するつもり?』
「だって、まだ死にたくないですもん‼︎」
『チッ…欲深ぇクソ人間が。吹く前は羽も力も使えねぇんだよ…あんまイライラさせんじゃねぇ』
「て、天使が命を奪うだなんて…お、おかしいと思います‼︎」
『神がそう決めた。俺たちは命じられた事を実行するだけだ』
威圧感の割には差は縮まる気配がない。
羽も力も使えないって事は、普通の人間状態って事?
…だったら私、ワンチャン逃げ切れるんじゃない⁈
お菓子探しを楽しむ生徒たちの隙間を縫う様に走り抜けて行く。
とにかく逃げる。逃げて逃げて逃げまくる‼︎
「野川‼︎」
不意に名前を呼ばれ振り返ると、そこには息を切らした一人の黒ずくめの男子生徒がいた。
最初のコメントを投稿しよう!