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《願い事》
「葉名っ、葉名っ!!!!」
「うぅ……ん、おとう……さん?」
葉名を揺すり起こしてから大夢は興奮した様子で話し出した。
「お母さんが目を覚ましたぞっ! いきなりだったから驚いたか?」
「……お母さんが、目を?」
絵本が滑り落ちそうなのをしっかりと持って葉名はにっこりと微笑んだ。
「だって、葉名と地蔵さんとごんべえさんが助けたんだもん。それで助かっただもん」
「……はぁ?」
大夢は当惑した様子であった。
その後、ふっくら地蔵にはお稲荷さんが供えられていた。葉名が中学、高校生、大学生からになっても、ずっと。
絵本は擦り切れるほど読んでしまった。今は自作のカバーがかけられている。
葉名は願い事をした。
「今度は素敵な男性と出会えますように」
ふっくら地蔵は相変わらず微笑みを絶やさずにいたのだ。
~FIN~
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