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朝焼けの翼
「わたしでも、天使になれるかな」
振り向いた彼女は、歪めた笑みに一筋の涙を流して言った。その姿が、どうしてか美しく写るのは、悲しいほどボクに勇気がないからだ。
あの時、ボクはなんと答えたんだっけ。
「……ありがとう」
ただ、それが余計な一言だったのは覚えているよ。
そのせいで、ボクの隣から温もりが消えたから。
ボクに永遠の枷をつけて、ヒドイ笑顔を浮かべた白いワンピースのあの子は、朝焼けのカーテンを翼に天使となった。
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